・図像と数から得られた結論

 結論としては以下の通りになる。

1. タロットやトリオンフィが中世に作られたこと、小アルカナが数札遊びに関係していることは事実である。

2.  大アルカナはペトラルカの詩に起因する劇行列を再現しようとしたものではない。大アルカナに描かれている物語は、ルネサンス的に復元が試みられた超古代信仰、あるいはその変形である古代宗教である。

3.  中世ルネサンスに作られたタロットは、異教の物語と、異教が抱えていた差別問題を『キリスト教』というフィルターを通して解釈しようとしたために、誤解が生じてしまった。また、そのため、タロットは本来の物語から、幾人かの作者の意見が色濃く反映された『ローマ対反ローマ』的な作品となってしまった。これはトリオンフィ(カード)の時点で既に始まっていた。

4.   しかし、その事実はタロットの図像の無意味を意味しない。ルネサンスとは再発見である。キリスト教的フィルターがかかっていることは悪意ではない。時代を考えれば仕方のないことである。

5.  以上を考慮した上で、マルセイユ版は非常に重要なタロットである。それは数と図像がヴィスコンティ版から進化しているからである。

6.   誰かがマルセイユ版を再構築する必要がある。

・再構築にあたって

 ここまで読んだうえで、

「マルセイユ版タロットには何の問題もない。『16神の家』は火事の家ではないし、『20審判』は上も下も『最後の審判』の図であるし、『21世界』と『愚者』を纏めるなんてありえない」

と考える者がいても何ら問題はない。著者はジャン・ノブレ本人ではないのだから。あくまで一意見と考えて欲しい。

そのうえで、再構築については非常に悩んでいる。特に13死、14節制のようなカードはタロットから大きく変更せざるを得ないため、未だに納得のいく出来で完成できていない。ただし、何も書かないのでは不義理であるので、今のところのカード構成を表にして以下に記す。右は元となったマルセイユ・タロットの表である。

再構築総枚数21枚タロット総枚数22枚
1聖王20堕天(再生)1魔術師20審判
2巫女19太陽の女神との契約2女教皇19太陽
3女王18月の女神との契約3女帝18月
4王17天界の女神との離婚4皇帝17星
5神官16哀憐(地上を見てしまう)5法皇16神の家
6聖婚15寵愛(地上を見るなと言われる)6恋人15悪魔
7凱旋14逢瀬7戦車14節制
8聖王の義務13天界の女神との結婚8正義13死
9王権交代12禊(地上での穢れを清める)9隠者12吊るされた男
10聖王の死11天界に生まれる10運命の輪11力
21愛 (なし)愚者21世界

後編へ続く。。。。

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